脳動静脈奇形

役に立つ

突然頭痛が!

頭が痛い人

何の前触れもなくその日がやってきました。当時一人暮らしをしており、仕事を終え、家でテレビを見ていた時に急に頭痛が。たまにお酒を飲みすぎたりした次の日に頭痛になったりすることもありますが、仕事終わりで、お酒も飲んでおらず、突然の頭痛です。何かが頭に当たったような感じの突然の痛みです。痛み始めたのは夜19時ぐらいでしょうか。そこから食事をとる気にもなれないぐらい頭痛がひどく、もう風呂入って寝ようと。頭痛を我慢しながらシャワーだけあびて、その日は寝ることにしました。

眠れない

ベッドに横になって就寝しようと試みるが、頭が痛すぎて眠れない。薬箱を漁ったら、頭痛薬(痛み止め)があったので、それを飲んで再び就寝。しかし、頭痛は収まらずまったく眠れない。普段頭痛持ちではなく頭痛薬(痛み止め)を飲んだのも初めてなぐらいなので、効力がわからず、これが重大の状況だということを認識せずにいました。この時は、頭痛薬(痛み止め)全然効かないじゃんぐらいのテンションでした。

頭痛の箇所は目の奥あたり。目の奥をずっと何かに刺されているような痛みが続きました。飲みすぎ時の脈打つと同時に痛むものとは違い、ずっと痛かったのを記憶しています。頭痛が収まってから寝ようと考え、とにかくぼーっとしていました。テレビ見るにも本を読むにも頭が痛すぎて全然集中できないので、ぼーっとしていました。痛すぎて眠気も来ない状況。。。さてどうしたものかなと考えはしますが、大変なことになっているとは思えず、時折頭を叩いてみたり、振ってみたりしていました。(今思うとぞっとする行動ですが。)そんなこんなで朝を迎え仕事に行こうと一瞬考えましたが、テレビも見れない状況で仕事ができるわけないなと思い、会社に頭痛が酷いので休みますと伝え、休むことにしました。休んだのはいいのですが、寝ることできず、相変わらず他に何かをする気力がなくぼーっとしていました。普通ぼーっとしていたら眠くなって寝てしまうと思うのですが、寝ていないにもかかわらず眠くなることもなくぼーっとしていました。

救世主現る!

一人暮らしということで、この頭痛が続く状況を誰かに気づかれることもなく、また夜がやってきました。当時付き合っている彼女がいて、夜その彼女から電話があったので、昨日の夜から頭痛が酷くいまだに頭痛が収まらないことを彼女に伝えました。

結果、頭痛がそんなに長く続くことはありえないということで、電話の後、彼女に連れられて病院に行くことになりました。大きな国立病院の緊急窓口にて症状を伝え、見ていただくことに。CTにて検査が終わった途端、立ち上がろうとしたら動かないように言われて、車椅子を用意されました。「何事?」と不安になりながら車椅子に乗せられて、そのまま先生の診断結果を聞くことになりました。

診断結果は「脳出血」とのことでした。そのため、そのまま入院することになりました。ただ胃潰瘍の時とは違い、すぐに手術というわけではなく、しばらく薬を飲みながら入院して何日が後に手術をするという流れでした。頭の中で血が出ているのに、薬を飲むだけでしばらく大丈夫なんだろうかと当時は不安になりました。不思議なことに市販の頭痛薬(痛み止め)ではまったく痛みが治まらなかったのに、病院で処方された薬を飲むことで痛みはまったくなくなりました。

この話も10以上前の話で記憶があいまいですが、手術する前にカテーテル治療はしたかな。。。それによって、痛みが消えたのか。。。とにかく彼女のおかげで大事に至る前に病院に診てもらえたのは不幸中の幸いです。あの時、病院に行かずに必死に我慢していたら。。。ほんと救世主です。一生感謝です。

—–カテーテル治療とは(インターネット調べ)—–

脳血管内治療は「カテーテル」と呼ばれる直径0.5ミリメートル~3ミリメートルの細い管を患者さんの足の付け根や腕から血管に挿入した後、大動脈を経由して頚部や脳の血管に誘導し、薬剤や「コイル」や「ステント」などを用いて治療を行います。 皮膚や頭蓋骨を切らないため、身体への負担が少ないのが「脳血管内治療」の最大の利点です。

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入院生活

痛みもなくなり、入院しながら手術の日を待つという状況がしばらく続きました。2か月ぐらい手術待ちで入院していたかと思います。その間、食事は普通に取れていたのですが、ずっと点滴を打っていました。2か月間も点滴を打つとどうなるかというと、針を刺す場所が少なくなってきて、とにかく針をさせるところに刺すということで、手の甲やら足の甲やらが痛かった記憶があります。

入院中はとにかく暇で、テレビを見たり、本を読んだり、音楽を聴いたりして暇をつぶすのですが、誰かが面会に来てくれるのが一番の楽しみでした。人と話をすることがこんなにも楽しいし、うれしいことなんだと実感したのを覚えています。

手術前の入院期間中には色々な検査をしました。CT検査も何度か行いましたし、血液検査やその他もろもろの検査を行いました。その検査をしていくなかで「脳動脈静脈奇形」という病気が原因で脳出血が発生したということがわかりました。

—–脳動脈静脈奇形(インターネット調べ)—–

「脳動静脈奇形」とは、脳の中で異常な動脈と静脈が毛細血管を介さず直接つながり、この部分がとぐろを巻いたような塊(ナイダスと呼ばれます)となっている状態の血管奇形です。 正常な血管に比べて壁が薄く、破れやすいです。 破れると脳出血、くも膜下出血となります。

—–脳動脈静脈奇形 原因(インターネット調べ)—–

発生する原因はまだわかっていないため、予防する方法はありません。 脳動静脈奇形は、出血する前にけいれんや頭痛によって、もしくは偶然検査で発見されることがあります。 出血前に発見された方は、今後出血の予防が治療の最大の目的になります。

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少し余談になるのですが、色々な検査をする中で気になったことがあります。知能テストみたいなやつを手術前に実施したことです。この知能テストは手術後も実施して、無事脳に影響なく手術を終えたことを確認するものだろうか?それとも、もう既に脳に影響が出ているかを確認しているのだろうか?等、想像を膨らませながらテストを受けました。後者(もう既に脳に影響があるか?)は、テストをやりながら特に今までと変わらないなぁといった感覚はあったので、脳は壊れていないかなと。今となってはですが、この知能テストの目的をきちんと確認すれば良かったと思っています。結局、手術後に知能テストを実施することはなく、知能テストを実施した意図、目的がはっきりしないままです。

入院生活が長いと普段何気なくやっていることができない不便さを感じます。食べ物にしてもポテトチップスやチョコレート等のお菓子が食べられない。マック等のファーストフードも食べられない。コーラはもちろんビールも飲めない。当時はタバコをすっていたのでタバコももちろん吸えない。自由に人と会えない。等々普段できていることがどんなに自由で幸せかを思い知ります。毎朝7時に起床し、朝、昼、晩と決まった時間に食事をとり、規則正しい生活を続けているとその生活に慣れていく一方で、一日ぐらい寝ていたいとか、食べたいときに食べたいとか思うこともありました。

手術日程決定!

入院生活が2か月程経ってからでしょうか。先生から手術日程が決まったと連絡をいただきました。頭の手術ということで日程が決まってから、手術日が来るまでかなりビビっていました。お医者様は一応最悪の可能性を患者に伝える必要があります。ただ、その最悪の可能性は脳の手術なだけに本当に最悪で、その可能性があるなら手術しない方がいいんじゃないかとまで考えました。

お医者様を信じてきちんと治してもらおうと決断し、覚悟を決めて手術日を待つことにしました。手術日前日か前々日かですが、手術前の準備として、髪の毛を全部剃る必要がありました。病院内に入っている床屋で手術内容を伝えて、髪を剃ってもらうといった段取りです。床屋というのはどのような髪形にしたいのかを伝えてから髪を切ってもらう場所だと思いますが、この時は髪形を伝えるのではなく、手術内容を伝えて髪を切って(剃って)もらいました。スキンヘッドになった自分を見て、まず、笑えなかったです。とうとう手術をするんだという気持ちでいっぱいになり、不安でしかなかったです。ただ、数時間後、せっかくスキンヘッドにしたので、記念に写真を撮り、皆に笑ってもらおうという気持ちになり、彼女やら友達やらに撮った写真を送り付けました。この時の心境としては、暗くなる気持ちを明るくなるように持っていきたかったのかなと。

手術!!!

とうとうこの日が来ました。入院している病院のベッド毎手術室に移動します。まだ麻酔は打っていないはずなのですが、ベッド毎手術室に移動した瞬間は覚えているのですが、手術室に入った記憶がないです。たぶん頭の中真っ白だったのでしょう。その後、全身麻酔のため、手術が終わるまでは私自身は寝ているだけです。手術時間は13時間だったと伺いました。13時間手術に集中しなければならないお医者様の仕事は本当に大変だったと思いますし、本当に感謝です。

手術が終わり1日以上経ってから目を覚ましました。ここで一番辛かったのが、痰(たん)です。頭の傷はもちろん痛いのですが、それ以上に痰(たん)です。痰(たん)が止まらないし、痰(たん)が突っかかって死にそうになるので、ひたすら痰(たん)を出す必要があります。たまに掃除機のようなものを口に突っ込んで痰(たん)をとってもらうのですが、しばらくするとすぐに痰(たん)が生成されます。どのくらいの時間痰(たん)と格闘していたかわかりませんが、下手したら3日間ぐらい格闘していたのではないでしょうか。

この痰(たん)問題ですが、タバコが原因のようです。タバコを吸っていれば吸っている人ほど全身麻酔後にこの痰(たん)問題が発生するようです。本当にきつかったので、これだけでもタバコを止めるには十分な理由だなと当時は思っていましたが、残念ながらその後しばらく吸っていました。

痰(たん)の辛さが大分軽減されてから、やっと手術が終わったんだという気持ちになりました。頭は包帯でぐるぐる巻きになっているので、どのような傷跡があるのかはまだわかりませんでしたが、無事に手術が終わったことを聞いてほっとしました。手術後は傷が癒えるまで1か月ぐらい入院が続きました。頭の傷を見たのは手術して1週間後ぐらいでしょうか。大分切ったんだなとわかる傷跡を見て、少し怖くなってしまいましたが、傷はどうあれ無事終わったんだと自分に言い聞かせました。その後、抜糸は2週間後ぐらいでしょうか。意外に早かった記憶があります。

病気を経験して

改めて健康が如何に大事か、そして、当たり前にできることが如何に幸せかをこの経験を通して実感しています。残念ながら人間というのは忘れてしまう動物なので、病気が治った後もしばらくタバコを吸っていたり、暴飲暴食を繰り返したり、当時の自分がみたら怒るだろうなと思いながら、今を生きています。この記事を書くことで皆さんに健康が如何に大事かをお伝えできればいいかと最初に言いましたが、書き終えていえることは皆さんに向けてというより、健康に対する思いを再認識することができた私自身に向けてだったかもしれません。普通に好きなものを食べて、自由に人と話ができて、当たり前のことが当たり前にできることを幸せだと感じることを忘れないようにしたいと思います。

皆様も健康に気を付けて、当たり前を楽しんでいただければと思います。


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